職場におけるハラスメントとは??
グローバル化が進んでいる現在、職場でも国籍、性別、趣味、嗜好、考え方などが多様化していると思います。お互いが気持ちよく働くためにもハラスメントに関しての知識を持っておくことが大切です。
そこで、今回は職場で考えられるハラスメントを紹介していきます。
目次
1.ハラスメントとは
ハラスメントとは英語で「harassment」と表記し、「嫌がらせ」や「悩ますこと」などの意味とされています。日本でも相手の嫌がる行為、不快にさせる行為、尊厳を傷つける行為などに対してハラスメントとして扱わており、耳にすることも多いと思います。
ハラスメントの種類は数多くありますが、加害者に悪気がなかったとしても被害者が嫌な行為はハラスメントとなることもあるので注意が必要です。
2.パワーハラスメント(パワハラ)
職場におけるパワーハラスメントとは「労働施策総合推進法(抄)」で次のように定義されています。
(雇用管理上の措置等)
第30条の2 事業主は、職場において⾏われる優越的な関係を背景とした⾔動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、 当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
このことから次の3つの要素を満たす場合をパワーハラスメントに該当します。
・優越的な関係を背景とした言動
→上司と部下など職場での地位や優位性を利用した言動など
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
→業務上必要のない言動や行為など
・労働者の就業環境が害される
→労働者が働く意欲を低下させるような発言や行動など
パワーハラスメントは受け取り側が「パワハラ」と感じたら成立すると認識している人も多いですが、部下や同僚への指示や指導の範囲が業務上、必要かつ相当である場合は該当しません。
(パワハラの例)
・仕事のミスに対しての上司、先輩からの暴言や暴力
・能力に対して、あきらかに多すぎる仕事量を部下に与える。
・職場での無視。特定の人だけ新年会や忘年会などに誘わないなど、人間関係の切り離し行為。
・業務上関係のない範囲でプライベートを詮索する。
3.モラルハラスメント(モラハラ)
モラルとは「倫理」や「道徳」という意味で使われることが多いです。
モラルハラスメントとは「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」によると
「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」と定義されています。
(モラハラの例)
・「チビ」「デブ」「ブス」など身体的な悪口。
・「だから高卒は使えない」など学歴や経歴に対する悪口。
・特定の人に対して周囲と違う態度で接する行為。
4.セクシャルハラスメント(セクハラ)
厚生労働省によると、職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性 的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言 動」により就業環境が害されることとされています。
異性に対しての言動や行動がセクシャルハラスメントとしてイメージされるかもしれませんが、同性に対しての言動や行動も該当します。
また、性的嗜好や性自認に関わらず「性的な言動」もセクシャルハラスメントに該当します。
(セクハラの例)
・相手の体を触る
・性的な発言(スリーサイズを聞く、いつ子どもを産むんだ?)
・「男のくせに」「女のくせに」など性別に関する発言
・卑猥な写真を強制的に見せること
・職場にヌードカレンダーなどを貼ること
5.アルコールハラスメント(アルハラ)
飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為や人権侵害のことをアルコールハラスメントと言います。
特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)によると、次の5項目をアルコールハラスメントと定義しています。
「飲酒の強要」、「イッキ飲みをさせる」、「意図的に酔いつぶすこと」、「酔ったうえでの迷惑行為」、「飲めない人への配慮を欠くこと」
一般的には、相手の意に反して飲酒を強要したり、肉体的、精神的に苦痛を与える行為全般を指していると考えられています。
一昔前では、会社での飲み会でもアルコールの強要や酒の席での発言が許されていたかもしれませんが、最近では受け入れられなくなっており、時代に合わせた飲み方が必要とされています。
(アルハラの例)
・アルコールが苦手な人に対してお酒を強要すること
・酔った勢いでの暴言や強要
・場を盛り上げるためにイッキ飲みさせること
6.マタニティハラスメント(マタハラ)
一般的に妊娠、出産、育児をきっかけに職場での嫌がらせや解雇、雇い止めなどの不当な扱いを受けることをいいます。
男女雇用機会均等法では、妊娠、出産、育児休業の取得を理由として解雇、雇い止め、降格などをおこなうことを禁止しています。
(マタハラの例)
・妊娠、出産、育児に関する休みに対しての嫌味や愚痴
・男性なのに育児休業をとることができない。とらせない
・妊娠するタイミングを会社側が指示、要求すること
・育児休業を理由に配置換えや降格をすること
7.ケアーハラスメント(ケアハラ)
働きながら介護をおこなう人に対しての嫌がらせや不当な扱いをいいます。介護での休業は育児、介護休業法で認められた労働者の権利であり、これを阻害することは法令違反となります。
家族の介護が理由で休まなけらばならない、残業できない従業員に対して人事評価を下げることや尊厳を傷つける行為はケアーハラスメントに該当します。
・同僚や上司からの「自分なら介護休業を申請しない」などの嫌味。
・介護休業をとったことによる降格や配置転換など
・介護休業の制度を利用させてもらえない
8.スメルハラスメント(スメハラ)
何らかの「におい」が原因となり周囲の人に不快感を与えることをいいます。
においの原因は「体臭」、「口臭」だけでなく、香水や柔軟剤などの香りが原因となってしまうこともあります。においの感じ方は人それぞれであり、体臭なども個人の体質などデリケートな面であることから指摘することが難しい場合もあり、解決することが難しくなることもあります。
原因となっている「におい」に関して、当事者は無自覚な場合もあり、うまく解決できない要因ともなっています。
・「ワキガ」「汗臭」「足の臭い」などの体臭で周囲の人に不快感を与える
・「香水」「柔軟剤」のにおいで周囲の人に不快感をあたえる
まとめ
以上、職場でのハラスメントを紹介しました。
ハラスメント自体は昔から存在していたとは思いますが、許されていた、見逃されていたこともあったと思います。しかし、今はインターネットも普及した情報社会です。時代の流れに合った正しい知識と認識を持っていることが大切になってきます。
職場でもハラスメントに対して共有した認識を持つことでトラブルを未然に防ぐことに繋がるとおもいます。ガイドラインの作成や研修など、自分だけでなく周囲の人と協力して、お互いが気持ちよく働ける職場づくりを目指していきましょう。
四季グループ代表
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