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キャリブレーション

相手の心理状態を言葉以外のサインで認識すること ( 相手の表情や動き、呼吸のスピード、声のトーン・テンポなど )を『キャリブレーション』と言います。

キャリブレーションは「観察して気づく力』とも言えます。

人が無意識の内に行っているわずかな動作や変化を観察し、相手の心理状態を言葉以外から見抜いていきます。

例えば、相手の目の瞳孔が開いたとすれば、その対象(人、映像など)に対して興味を持っているということになります。

口をきつく結んでいれば、ストレスや不安が大きくなっていたり、警戒している証拠です。

このように相手が自分でも気付いていない動作を観察することで相手が今どんな心理状態にいるかが分かります。

キャリブレーション力が上がれば、嘘をついていたとしても、それが嘘かどうかを見抜くことができるようになります。

自分にベクトルを向けるのではなく、相手にベクトルを向けて観察することを意識すれば、自然とキャリブレーション力は上がり、人間関係をスムーズに構築することができます。

◆恋愛での活用法

目は口ほどにものを言う

例えば、まだ出会って間もない頃のデートの待ち合わせに遅刻してしまったとき。「大丈夫ですよ」という言葉を真に受けて、遅刻したことをなんとも思っていないのだと安心してはいけません。

相手の表情を注意深く観察してみると、目を合わせようとせず、肩が少しあがっていることに気づきます。そして、相手が怒っているのだと認識することができれば、誠意を込めてお詫びしましょう。

遅刻したことへの怒りより、きちんと気持ちに気づいてくれたことへの喜びで好感度は一気にあがります。

キャリブレーションの相乗効果

恋愛では、キャリブレーションが効果を発揮するポイントがもうひとつあります。

それは“自分に対してキャリブレーションをしてみる”ということ。

恋愛でありがちな失敗に、自分の気持ちを素直に伝えられなかった・・というものがあります。

相手とやりとりする中で、言葉では「大丈夫」と言ったけれど、呼吸が浅くなっていたり、顔が俯いてしまっている自分に気がつけば、本当は自分が落ち込んでいたり傷ついていることにも気づくことができます。

何の気持ちもないような態度をとっているけれど、声がうわずっていたり、相手の目を真っすぐに見れなかったりしている自分に気がつけば、本当は自分が相手に対して好意を持っていることにも気づくことができます。

自分に対するキャリブレーションで、本当の気持ちに気づけたら、どんな種類の感情であってもできるだけ相手に伝えることが大切です。それがお互いを知っていくための一歩になります。

自分自身の感情や欲求を認識できるようになると、自然と相手の感情や欲求も認識できるようになることが恋愛におけるキャリブレーションの相乗効果です。

◆営業での活用法

メラビアンの法則でも提唱されているように、私たちのコミュニケーションにおいて、その言語と非言語の領域の割合は1:9ともいわれています。

それほどに言葉以外の視覚的、聴覚的、身体感覚的な情報を観察し相手をキャリブレーションすることは交渉の場においても重要なのです。

相手の“YES”のしぐさを知る

ほぼ初対面の交渉相手のことを知るために、相手の心理と動作が一致しているときの“YES”のしぐさを観察しましょう。

「今日はお車でお越しくださったんですか。」

「はい、車で。」(YES)

「暑かったでしょう。」

「そうですね。まだまだ暑い日が続きますね。」(YES)

このようなさりげない会話の中で、相手の“YES”のしぐさを把握することで、交渉中の相手のしぐさから心理的な“YES”か“NO”を判断しやすくなります。
(YESの心理であれば、口角を上げて目を見て返事をしてくれる、と分かれば
交渉中にそうでない反応があったとき、心理的にはNOである可能性が予想できる。)

既に答えは決まっている傾向のあるしぐさ

商談の場で、相手の煮え切らない態度が続いていると、アプローチするべきか静観するべきか迷ってしまうことがあります。そんなとき、心理学者のニーレンバーグがある実験で導きだした「スーツの法則」に則って判断することもできます。

  • シャツのボタンをはずす
  • ジャケットを脱ぐ
  • ネクタイを緩める

商談の場で、これらの“鎧を脱ぐようなしぐさ”があれば、相手の中で商談という戦いは終結しており、しかも答えは前向きなものであると推測することができます。

必ずそうと断定できるものではありませんが、交渉の際の指標となるのではないでしょうか。

◆マーケティングでの活用法

人材マネジメントにキャリブレーションを生かす

商品やサービスを生み出し、広報し、販売するだけではマーケティングの目的は達成されません。

それらのマーケティング戦略がスムーズかつ効率的に遂行されるための仕組み作りは、マーケティングマネジメントと呼ばれます。その一角を担う「マーケティング組織」の構築のために、人材マネジメントへの注力は欠かせません。

現場レベルでの人材マネジメントにおいて、部下や同僚へのキャリブレーションを日々の業務の中で行うことは、やがて大きな結果に繋がります。

面談の場での「大丈夫です。特に問題ありません。」という言葉より、業務中の本人の様子を観察しましょう。

業務中の姿勢がいつもに比べて猫背ではないか、顔色は明るいか、返事をする声に張りはあるか、疲れをためていないか・・。

いつもと様子の違う原因が一概に仕事にあるとは言えませんが、違和感に気づくことが大切です。

プライベートに問題にあるのであれば支障のない範囲で話を聴くだけでも、部下や同僚のリフレッシュになります。また業務上の不満を抱えているのであれば、それを吸い上げフィードバックしましょう。

具体的には、偏った業務負担を分散させる、本人の資質に合った業務担当に選任する、など建設的な改善が望ましいです。 但し、達成目的であるマーケティング戦略の領域内での改善であることが前提となります。

たとえ本人に不満があったとしても、それがマーケティング戦略の領域外のことであれば、それに応えることは組織としてプラスになるとは言い切れません。

  Plan:計画する
   ↓
  Do:実行する
   ↓
☆ Check:評価する
   ↓
  Action:改善する

あらゆるビジネスシーンで欠かせないPDCAサイクルの循環のうち、キャリブレーションが効果を発揮するのは「Check:評価する」の段階です。

“評価をする”のではなく“本心を引き出す”という意識への切り替えが大切です。

クレームを言わずに黙って離れていく顧客をサイレントクレーマーと呼びますが、部下や同僚も同じく、本当に離脱を考える人材は、自ら声をあげません。
即日の問題解決に至らなくても、自分の気持ちを汲み取ってくれる、という潜在的な安心感は、本人のパフォーマンス向上にも有効です。

積極的にキャリブレーションを行って、小さなストレスや不安の芽を摘み取ってPDCAサイクルに乗せたマネジメントに繋げていきましょう。

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