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おとり効果

どう考えても選ばれないであろう(明らかに見劣りのする)選択肢を紛れ込ませることで、意思決定を変化させる心理的効果を『おとり効果』と言います。

  • A 6,000円(大浴場なし・朝食なし)
  • B 7,000円(大浴場あり・朝食サービス付き)

とあるビジネスホテルAとBの宿泊プランです。貴方ならAかBどちらのホテルを選びますか?

安く済ませたい人は「A」、大浴場や朝食が欲しい人は「B」を選ぶのではないでしょうか。

  • A 6,000円(大浴場なし・朝食なし)
  • B 7,000円(大浴場あり・朝食なし)
  • C 7,000円(大浴場あり・朝食サービス付き)

では、この場合どうでしょう? なんだか「C」がさっきよりもお得そうに見えませんか?

これがおとり効果です。明らかに見劣りする「B」の(おとり)を入れることで、「C」が圧倒的によく見えるのです。

◆営業・マーケティングでの活用法

おとり効果は営業・マーケティングにおいても利用することができます。

松竹梅コースのように

高額な商品と低額な商品とで売りたい商品を挟む方法

も「おとり効果」を狙ったものになります。

松竹梅コースは3段階の選択肢があった時にほとんどの人が真ん中を選ぶ心理効果の「松竹梅の法則」からきています。

例えば、二つのランチセットがあります。

  • Aランチ:500円
  • Bランチ:900円

この場合だと多くの人が、Aランチを選びます。

この選択肢にCランチ:1200円を追加すると、

  • Aランチ:500円
  • Bランチ:900円
  • Cランチ:1,200円

とする方が真ん中のBランチの販売数が増えるのです。

新たに加えたCランチはAランチやBランチよりも価格や品質が上というだけで、他のランチセットをお得に感じさせるわけではありません。

それなのにBランチが多くえらばれるのは、

「三段階の選択肢があると真ん中の選択肢を選びやすくなる」松竹梅の法則からきています。

たいていの人が、「Cランチが品質が良くて安心」と思いつつ、「でも高いお金出して美味しくなかったら嫌だなぁ」とためらってしまいます。

「かと言ってせっかく食べにきているから一番安いランチセットもどうかなぁ」と迷いが生じ、最終的に一番無難なBランチを選ぶ可能性が高くなります。

注意点としては、無意識に比べさせるために分かりやすく表示すること。どっちが得なのか分かりにくく表示してしまうと、「考えるのがめんどくさい」となり、おとりの効果がなくなってしまうのです。

「おとり効果」の成功事例

「おとり効果」を利用して成功したパン屋の成功事例を紹介します。

家庭用品を販売している「ウィリアムズ・ソノマ社」は当時まだ流行っていなかった自動パン焼き機を発売しました。

しかし、発売された当時は、ほとんどの消費者はまだ流行っていなかった自動パン焼き機に興味示しませんでした。

そこで、「ウィリアムズ・ソノマ社」はその商品より50%高価な製品を新たに発売する戦略をとったのです。

そうすることで、選択肢ができて、最初に開発した自動パン焼き機が爆発的に売れるようになりました。

これは「おとり効果」が働いており、

2つの選択肢を提示することで、消費者が2つの商品を相対的に判断し、

コスパなどの点から、割安の自動パン焼き機を購入するようになりました。

おとり効果とアンカリング効果の相乗効果

アンカリング効果とは

最初に提示された数字や価格などの印象に強く残った情報が基準となり(アンカーとなり)、

その後の行動に影響を与える心理的な効果のこと を指します。

最初に高額な価格を提示されると、値引きされた商品の価格が安くなかったとしても、購買意欲が高まります。

おとり効果の場合は、

選択肢の中で一番高い商品を先に提示することで、

それよりも価格が低い商品に魅力を感じるようになります。

おとり効果とアンカリング効果を組み合わせることでさらなる売り上げが期待できるでしょう。

◆恋愛での活用法

心理学者の「ダン・アリエリー」がマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生を対象にユニークな実験を行いました。

まず、学生の中から目鼻立ちが整った「イケメン」と「イケ女」の写真を集め、学生たちの意見を聞き入れて公正になるようにしました。

次に、この人たちの偽物をつくるために画像を処理します。目の片方だけを大きくしたり、ニキビをつけたり、髪の毛をうすくしたりしました。

これで

・Aイケメン

・Bイケメン2

・Cイケメン2を加工してブサイクにした

3枚の画像を提示し、学生に好みのタイプを選んでもらいました。

結果は74%の確率でBの写真が選ばれました。

Cは同じ顔なのに不思議ですよね?

比較対象になっていないA選んでもいいような気がしますが…

このようにダン・アリエリーの検証から、「ちょっと劣っている人と並ぶとより良く見える」という結果がでています。

例えば、合コンや婚活パーティーに自分より外見が劣っている人を同席させることで、自分の良いとこを引き立たせ自分が選ばれるようにするものひとつです。

外見はあくまで魅力のひとつなので、目の前の相手が異性に対して何を求めているかをしっかり見極めてから、おとり効果を利用したほうがいいでしょう。

しかし、中々恋愛で活用できる人は少ないように感じます。

◆おとり効果を活用する上でのポイント

選択肢は3~5くらいにする

 人間の心理として選択肢が多すぎると、「決定回避の法則」が働いてしまい、決定を避けてしまいます。

 またプランやオプションが多いと考慮すべきことが増え、適切な判断をしづらくなります。

 その結果、「またゆっくり考えてから決めよう」という流れになってしまいます。

 3~5つが意思決定をしやすい最適な数と言われており、適度な数に絞ることが必要です。

価格設定は5:3:2にする

ただ商品を3つ並べるだけでは売上は伸びません。

選択されてほしい商品の価格を中間に設定し、ほかの選択肢を設けると、売りたい商品の売上を伸ばすことが    できます。

価格は5:3:2に設定することで、中間の商品が売れると言われています。

中間を選ぶ心理は極端の回避性とも呼ばれます。

人は損をしないように中間を選択する心理が働きます。

さらに、商品の価格は、高価な商品から順に低価な商品へと表示するのが良いと言われています。

・一番売りたい商品を設定する

売りたい商品を特定しないまま選択肢を提示しても効果は得られません。

一番売りたい商品を明確にしそれに合わせて選択肢を用意しましょう。

また、売りたい商品やサービスが選ばれたとしても価格に見合ったものでなければ、信頼はなくなります。

その場合は、一時的に利益があがるだけで、リピータを獲得しづらいので、商品やサービスの価値と価格を合わせて設定するようにしましょう。

商品・サービスの内容をわかりやすくする

数多くの選択肢から選ぶときに、価格も違い、内容も違うと選ぶのにストレスを感じます。価格で比較しやすいようにするべきです。

ポイントとしては、下位の要素を含ませると一番効果的で実行しやすいでしょう。

たとえば、

・からあげ定食とドリンクセット

・からあげ定食

・からあげ単品

このようなラインナップであれば、比較しやすく、価格設定によって売りたいものに誘導しやすいでしょう。

しっかりと客層を把握して、どのようなものを求めているかを考えることで、より良い選択肢を設定できるでしょう。

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