権威効果
相手の社会的地位や肩書きによって良い印象になったり、信じやすくなったりした経験はないでしょうか?
これは「権威効果」と呼ばれる心理効果によるものと言われています。
人は自分より経験豊富な人の意見や実績がある人の意見は受け入れやすくなると考えられます。
この効果はビジネスのシーンでも活用されています。
本屋で売っている書籍を思い出してみてください。書籍に帯がついており、著者とは別の人のコメントが書かれていることがあります。
コメントと一緒に「○○大学名誉教授推薦」や「人気タレント○○さんもハマった」などが書かれていると、
「大学の教授が推薦するなら役に立ちそうだな」とか「あのタレントがハマったならおもしろそうかも」と思わせることで商品の購入に繋げています。
専門性のある分野において、自分の知識が乏しい場合は余計に信じやすくなるかもしれませんね。
コメントだけでなく、見た目でも権威効果を活用できます。例えばテレビのCM を思い出してください。
歯磨き粉や洗剤のCMで登場人物が白衣を着ているイメージはありませんか?
登場人物自身は開発者や研究者ではなく、俳優やタレントである場合がほとんどですが、
「研究を積み重ねて出来た商品」というイメージを感じる人もいると思います。
その結果、「これは良さそうな商品だな」と感じて「今度買ってみようか」となるわけです。
これも権威効果による作用といえるのではないでしょうか。
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他にも名刺を受け取った場合もイメージしやすいと思います。
貰った名刺に「営業部長」、「統括マネージャー」、「技術顧問」などの役職が書いてある人と書いてない人ではイメージが違いませんか?
役職が書いてあるだけで、「仕事ができそう」、「信用できる」と思ってしまいます。
会社によって役職の人数、肩書き、役割が違う場合も多いにも関わらず、受け手側の勝手な判断で良い印象になります。
これも権威効果によるものと言えるでしょう。
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ここまでは自分が受け手側の場合の「権威効果」を紹介しましたが、自分が「権威効果」を意識して使用することで相手に良い印象を与えることもできます。
・ビジネスでの活用
対人でビジネスをする上で見た目は重要です。相手からどのように見えるかで印象や信頼感、安心感にも影響を及ぼすことがありますので注意しましょう。また、会話の際も言動に気をつけるのもポイントとなります。
話し方やしぐさなどで相手に持たれる印象が変わることもあります。
上記でも本屋の帯コメントを例に紹介しましたが、自分が物を販売するときでも同じように活用することができます。
あなたの会社で「新商品」を開発したとしましょう。販売するときに
「この新商品は性能がとてもいいんです」
「わが社の自信作です。お試しください!」といくら宣伝しても、
「本当にいい商品なの?」や「自分たちで褒めても信用できない」という感想を持たれることもあるでしょう。
そんなときに「権威効果」を活用したキャッチコピーを考えて宣伝効果を向上させてみましょう。
関連する分野の専門家、例えば「料理本なら有名店の料理長」「薬なら医学博士」「住宅関係なら有名デザイナーや建築士」などからの推薦コメントや推薦文、ポジティブな感想などを商品を販売するときにアピールしましょう。
消費者(お客さん)からすると「専門家が言うならいい商品だ」と感じて商品に対しての安心感や信頼感が向上しやすくなります。
ただし、許可なく推薦されているように見せたり、捏造することは後にトラブルに繋がることにもなるのでやめておきましょう。
・恋愛での活用
あなたには気になる人がいて、食事に誘いたい場合です。
相手とすでに関係ができているなら、「今度一緒にご飯でも食べにいこうよ」と気軽に行けるかもしれません。
ただし、初めて誘う場合は相手も身構えるかもしれません。
そのときに、「グルメサイトで1位になった店が近くにあるから一緒にいかない?」
「ランチが人気のお店があって、気になってるんだけど一緒に行ってみない?」など、
お店が人気であることを相手に伝えて興味を持つように誘ってみましょう。
「人気のお店なら一度行ってみてもいいかな」と相手が思うかもしれません。
この場合、自分の権威ではなく、お店の権威を利用している形になります。
すでに付き合っている場合や食事に行くような関係になっている場合でも同じように「権威効果」を活用できます。
「このお店、ミシュランで星を獲得したことあるらしいよ」
「このお店、なかなか予約がとれなかったよ。かなり人気があるみたい」
など相手に伝えてみましょう。
お店の敷居が高ければ高いほど、
「お店を予約するだけでも大変だったのでは?」
「自分のために準備してくれて嬉しい」
など相手にポジティブな感情に与えることができるかもしれません。
ただし、わざとらしく「お店の予約や準備に苦労したこと」などを伝えると恩着せがましく感じる人もいるので
スマートに相手に伝えることが重要になります。
・子育てでの活用
子どもに何かを伝えるときにも「権威効果」は有効です。
子どもは親に何かを言われてもなかなか信じないこともあると思います。そんな時は「○○ちゃんのママから聞いたんだけど~らしいよ」
とか「テレビで行ってたんだけど~らしいよ」など、自分以外の人から仕入れた情報として伝えてみましょう。そのときに語尾を「~らしいよ」とすることで「そうなのか」と感じて信じやすくなるでしょう。
例えば、子どもが「ハチに刺されると死んじゃう。怖い」と信じているとします。
親が「ハチに刺されても病院に行けば大丈夫だよ」とか伝えても、あまり納得してくれません。
そんなときに、「テレビでハチの専門家の人が言ってたけど、すぐに病院に行けば大丈夫らしいよ」とか
「インターネットの記事に載ってたけど、ハチに100回以上刺されているハチハンターが載ってたよ。
ハチを退治する仕事があるんだって。」
など自分以外の話を具体的に伝えてみてはいかがでしょう?
子どもからすると、「ハチに詳しい人が大丈夫って言ってるなら大丈夫なのかな?」とか「100回刺されても大丈夫な人がいるのか。」など自分で納得することで安心することができるでしょう。
・ハロー効果との違い
「権威効果」と似ている効果で「ハロー効果」というものがあります。
ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象を『ハロー効果(光背効果、後光効果)』と言います。
簡単に説明しますが、接客してくれる店員の髪の毛がボサボサで不潔な印象だと、「この人で本当に大丈夫だろうか」と感じませんか?
同じ店員でも「スーツにスラックスで清潔感のある見た目」の場合、「この人は信用できそう。しっかりしてそう。」と感じやすくなります。
見た目などの第一印象で相手のことを評価することを「ハロー効果」といいます。
「ハロー効果」については別の記事で紹介していますので是非ご覧ください。
「権威効果」は相手の地位や肩書きによって相手に対して印象をイメージするため、「すごい人」「地位のある人」など自分より権威のあるイメージを浮かべるため、相手に対してポジティブに捉えます。
一方、「ハロー効果」は相手の見た目など目立ちやすい特徴に対して相手の印象を決めるため、「清潔感がある」などの場合はポジティブに捉えますが、「不潔、怪しい」などの場合はネガティブなイメージに捉える場合があります。
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以上、「権威効果」について紹介しました。
「思い込み」による効果ですが、様々なシーンで活用できるので一度、試してみてください。
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