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ツァイガルニク効果(ザイガルニック効果)

人間は達成できなかったことや中断していることに対し、より強い記憶や印象を持つという心理学的な現象を『ツァイガルニク効果』と言います。その度合いは、夢中になり、完了が間近なものほど、強くなります。

「続きが気になって仕方がない!」
「もっと知りたい!」
「結末を知りたい!」
「最後までやりたい!」

話が途中で終わったり、作業が完成せずに終わると心理的にこんな風に思ってしまいますよね? これがツァイガルニク効果なんです。

分かりやすい例えが、「アニメや漫画、ドラマ」です。

子供の頃に、「To be continued…」と放映され次回予告になった時、「あー早く続きが見たい・・・!」ってなったことありませんか?

マンガ(アニメ)やドラマがちょうどめちゃくちゃ良いところで終わるってやつです。

例えば、キャラクターがなにかに変身した状態でアニメが終わり、次回予告になると、何に変身したかめっちゃ気になりますよね?

このように、ツァイガルニク効果は最後の瞬間が気になって頭から離れなくなるのです。

ポイントは「話をどこで切るか」です。うまく切ることで相手はずっとそれが気になり、次に繋げることができるのです。

この心理現象は、ドイツのゲシュタルト心理学者のクルト・レヴィン氏が仮説を立てました。

人間の記憶について、「人は目標に向かっているときは緊張感が生まれるが、目標が達成されると緊張感は解消する」という仮説です。

この仮説に基づきソビエト連邦(現ロシア)の女性心理学者のブルーマ・ツァイガルニク氏が実験し

「目標が達成されない行為に関する未完成なもの・出来事についての記憶は、完成した物・出来事についての記憶に比べて、思い出しやすい」と明らかにしました。

私たちは明確な目標があると、目標を達成するために様々な情報をインプットしますが、目標を達成すると目標のために集めていた情報が入ってこなくなります。

◆ツァイガルニク効果の実験

ツァイガルニク効果の実証実験を紹介します。

被験者を2つのグループに分けて、簡単な作業や粘土細工、パズルを解く課題を次の条件でしてもらいます。

Aグループ:最後まで課題を完了して次の課題へ移行する

Bグループ:途中で課題の邪魔をされて次の課題へ移行する

すべての課題が終わった後に、「先ほどやった課題にはどんなものがありましたか?」とそれぞれのグループに課題の内容についての質問をします。すると、課題を中断されたBグループは、Aグループと比べて2倍近く課題の内容を思い出すことができました。

この結果から、「物事は何事も完了されるより、中断された方が記憶に残る」ということが実証されました。

◆仕事・勉強での活用法

「ツァイガルニク効果」は仕事や勉強の効率アップに活用することができます。

仕事や勉強に集中していると、「ついつい長時間のめり込んでしまった」ことありますよね?長時間集中すると、脳が疲労し、その分休む時間も長くなってしまいます。そのような場合は、キリがいいところまでやりきる前に、定期的に少し休憩をとるようにしましょう。

このようにすることで、少し前の作業のことが頭に残る状態が続き、記憶力もアップします。

◆営業での活用法

営業活動でも「ツァイガルニク効果」を活用することができます。

例えば、電話で、訪問依頼をする場合に、ただ相手の都合を聞くだけでなく、相手が興味・関心持ちそうな話題を出して、「詳しいことは、訪問時にお伝えしますね」と言えば、訪問の約束が取りやすくなります。

◆マーケティングでの活用法

ツァイガルニク効果は様々なところで使われていますが、馴染みのあるのは

続きはWebで!!

続きはCMの後で!!

とテレビコマーシャルではないでしょうか?

あえて中途半端なところで切り上げて、次が気になるようにする効果です。

CMの続きが気になるような状態でわざとストップさせ、消費者に商品のことをしっかり覚えてもらう戦略です。

また、インターネット上でよくみるのが、記事タイトル(見出し)や広告分で「ツァイガルニク効果」を活用している例です。

記事タイトルにはあえてすべてを伝えずに一部だけ切り取ってタイトルにするケースがあります。すると明らかになっていない内容が気になったユーザーは、記事タイトルや広告文をクリックします。

このように、ユーザーのクリック数に応じて広告収入が決まるようなところでよくみられます。

注意点としては、中途半端なタスクは記憶に残りやすいですが、一方で情報を小出しにしすぎるとユーザーが離れていってしまう場合もあります。情報を小出しにすることは「ツァイガルニク効果」では有効ですが、情報をどの程度開示するかや、情報開示の頻度には気をつけるようにしましょう。

◆恋愛での活用法

「ツァイガルニク効果」は恋愛にも多くあふれています。

たとえば、恋愛では自分が振った記憶より、振られた記憶の方が強く覚えてたりしませんか?

振った場合は、「振る」という目的が達成されていますが、振られた場合は「まだ付き合いたい」という目的が達成できないまま終わっていて、この未練が「ツァイガルニク効果」によって、強く印象に残ってしまい、引きずってしまいます。人は達成できないことに執着します。

「ツァイガルニク効果」を恋愛で活用する方法をいくつか紹介します。

「ツァイガルニク効果」を有効に使うには、相手に「未完成の感情」を植え付けることが重要です。

・メールやラインの返事を遅らせる

気になる相手からきたメールやラインをすぐ返信するのではなく、あえて少し時間をあけます。送ったメールの返事がもらえてないというのは、未完成の状態です。このようにすることで、相手はあなたのことを考える時間が増え、「なぜ返事がこないのだろう」と気になってしまいます。返信を1日、2日あけてしまうと、あまり良い印象はないので、数時間あけてからの返信がよいでしょう。その時は、しっかりした内容で、相手が喜んでくれそうな文章だとより効果があります。

・ミステリアスな雰囲気を醸し出す

同性でも異性でもミステリアスな人ってなんだか気になってしまいますよね?この現象も「ツァイガルニク効果」が働いているからなんです。ミステリアスな人は「どんな人かわからないから、もっと知りたい」という印象を与えます。

ミステリアスを装うのは難しいと思うので、初めから自分の情報をすべて伝えるのではなく、小出しにしていくようにしましょう。そうすることで、相手は「もっと知りたい」という未完を感じて、夢中になっていくでしょう。

・デートは早めに切り上げる

たとえば、デートはランチと映画だけと決めたら、相手から「この後飲んでいかない?」と夕食の誘いを受けても、切り上げるようにしましょう。もっと一緒にいたい気持ちもありますが、ここで断ることで、相手に未完の感情が残り、次のデートに誘われる確率が高くなります。

一度のデートで十分な時間を過ごしてしまうと、達成感がうまれ、またすぐに会いたいという気持ちは薄れてしまいます。

「ツァイガルニク効果」は「未達成の事柄・物事に対して強く印象に残る」という脳の特性です。

脳は中途半端なものを完了させようと働くので、じっくり考える必要があるものは、あえてキリの悪いところで切り上げるようにすると、次に集中しやすくなります。

この心理現象を意識して、仕事や勉強、恋愛などに活用してみてはいかがでしょうか?

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コメント

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