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バーナム効果(フォアラー効果)

誰にでも当てはまる内容を、それが自分にだけ当てはまっているかのように感じてしまう心理的作用のことを『バーナム効果』と言います。

このバーナム効果はほとんどの人が知らず知らずのうちに体験しており、最も分かりやすい例は「占い」です。

特に、「血液型占い」や「星座占い」などの心理テストで用いられています。

「あなたは、とても傷つきやすい一面をもっています」
「あなたは。実は素晴らしい才能を沢山もっているのですが、上手に活かしきれていません」
「あなたは、条件が整えば外交的で社交的ですが、条件が整わなければ内向的で遠慮がちです」
「あなたは、人前ではすごく明るく振る舞われていますが、実は内面的に深い孤独を抱えてたりはしませんか?」

どうでしょう。なんだか自分に当てはまっているかもと思うような内容ではありませんか?

バーナム効果はうまく活用することができれば、相手が自分のことを理解していくれていると勘違いするので、相手から信用されることが多くなります。

効果も高いものになるので決して悪用しないこと。褒めて相手をその気にさせて騙し自分の利益のために使うのではなく、相手の気分がよくなるように活用しましょう

バーナム効果は19世紀アメリカで人の心理を巧みに操りサーカスを大成功させたフィニアス・テイラー・バーナムの言葉に”we’ve got something for everyone”(誰にでも当てはまる要点というものがある)というものがあります。

心理学者のバートラム・フォアがこの現象を「バーナム効果」と名付け、 心理学者の名前から「フォアラー効果」とも呼ばれます。

◆バーナム効果の実証実験

バートラム・フォア氏は被験者である学生に性格診断テストを受けてもらいました。

後日その診断結果を一人ひとりに渡して、どの程度当たっているのかを評価してもらいました。0(まったく当たっていない)~5(非常に正確である)までの6段階で評価してもらったところ学生たちの評価の平均点は『4.26』でした。ほとんどの学生が『自分に当てはまっている』と感じた結果になりました。

実は診断テストの結果として渡した文章は、性格分析を行ったのではなく新聞の星座占いを抜き出して組み合わせたデタラメ。しかも全員に同じ文章を渡していました。

つまり、多くの学生が、実際には行っていない診断結果の半分以上の項目を自分に当てはまるものであると判断したということです。

この実験のカギは、事前に性格診断テストを行い、その診断結果だと伝えて星座占いの文章を渡すところにあります。占いの文章は多くの人に当てはまるような書き方がされていますが、なんの前置きもなく「あなたはこうです」と言われても信じない人が多いでしょう。この実験では自分だけの診断結果として文章を読んでいるので、多くの被験者が当たっていると感じたのです。 この実験はこれ以降も何百回と続けられていますが、平均は『4.2』を記録しています。

◆バーナム効果と血液型

バーナム効果は占いによく使われています。

星座占い、血液型占い、動物占い、おみくじなど、誰もが一度は『当たってる』という経験をしたことがあるのではないでしょうか?

日本では血液型で、性格診断をすることがありますよね。でもこれは日本だけで、海外の人はそこまで血液型を重視しません。これは血液型診断に科学的根拠がないからです。

A型:几帳面で真面目

B型:マイペースで気分屋

O型:おおらかで大雑把

AB型:天才肌で個性的

このような性格診断をみると、自分や家族、友人の性格を考えてみると、『当たってるかも』と感じてしまいますよね。

たとえば、A型の『几帳面で真面目』という部分は、誰しも少しはそのようね一面を持っていたりしますよね。プライベートは大雑把だけど、仕事になるときちんとやるという人でも当てはまりますよね。

血液型性格診断は、A型の人だけでなく、B型やO型の人にも当てはまるにも関わらず、A型の特徴としてピックアップされていると、A型の人は『自分の性格に当てはまる!』と思うようになります。

また、A型なのに『几帳面で真面目』で全くない人がいても、「確証バイアス」が働いてしまい、血液型占いが間違っているとは思いません。

「確証バイアス」とは自分の信じているものばかりに目がいき、自分が信じることに反する証拠から目を背けてしまうことを言います。

「バーナム効果」で一度占いを信じてしまうと、もし当てはまらない部分があっても、「確証バイアス」が働き、どんどん信じてしまいます。これが占いが「当たる!」と思う理由のひとつです。

◆恋愛・人間関係での活用法

「バーナム効果」は恋愛や人間関係においても使うことができます。

たとえば、

「最近、髪切った?」

「今日なんかいつもと雰囲気ちがうね」

「最近疲れてない?良かったら話聞くよ」

「優しくて気遣いができる人だよね」

このような言葉を掛けることで、相手に「自分のことをみてくれている」、「気にかけてくれている」と感じてもらえれるかもしれません。

誰でも、自分のことをみてくれたり、気にかけてくれる人を信頼しやすいものです。このように誰にでも当てはまるような曖昧な表現でも効果があるように思います。自分にだけに向けられた言葉をくれる人に対しては、心を開きやすくなるので、信頼関係を築くために使ってみてくださいね。

◆ビジネスでの活用法

「バーナム効果」はビジネスにおいても活用できます。

たとえば、商品を売るときの広告文やキャッチコピーで「バーナム効果」は活かされています。

キャッチコピーを見たときに、自分に関係のないことだと思われてしまうと、その後の文章を読んではもらえません。

「どんな対策をしても痩せないと悩んでるあなた」

これは「どんな対策をしても」という部分にバーナム効果が使われています。

対策といっても、ダイエットは様々なやり方があり、人によって違います。このように、対策の部分の表現を曖昧にすることで、顧客に対して「この商品は自分のために必要だ」と思わせることができます。

◆「バーナム効果」を生み出すポイント

・個別に向けられたメッセージである

「バーナム効果」を活かすためには、多くの人に当てはまる事柄でも、その個人に向けられた内容であることで、強く信じる傾向があります。

フォア氏の実験でも、診断結果を個別に渡すことで、学生たちは自分だけに宛てられた内容であると思ったはずです。もし、被験者の学生全員の前で、全員同じ診断結果を発表していたら、「バーナム効果」は生まれないでしょう。

・発信者の信頼性を高める

「バーナム効果」は、その内容を伝える人の肩書や権威に左右されます。より高い地位にある人の発言や信頼できる情報であるほうが、「バーナム効果」の効果性を高めるでしょう。

・ポジティブな内容である

「バーナム効果」が活かされるためには、伝える内容をポジティブな内容にする必要があります。ネガティブな内容だと「これは自分のことではない」と拒否し、自分が否定されるようなことは認めたくないでしょう。

・どちらとも取れる表現をする

「バーナム効果」は「誰にでも当てはまる内容を、個別に向けて伝える」ということがポイントです。

このため、どちらとも取れる表現をすることで、より活かされます。

たとえば、「普段は社交的だが、本当は内向的」「○○な一面がある」などと、曖昧な表現をすることで、自分にとって都合の良い意味を捉えやすくなります。

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